<白内障>
眼の中のレンズにあたる水晶体が白く濁ってくる病気です。初期でほとんど自覚症状はありませんが、進行するとかすみやまぶしさを感じたり、物が2重3重に見えたりするようになります。原因の多くは老化現象によるものですが、糖尿病やアトピーなどの全身疾患やステロイド剤が原因でおこるものもあります。
治療
軽度の場合は進行予防に点眼薬を用います。視力低下が進み、日常生活に不自由を感じるようになってきた頃に手術を考慮します。
<緑内障>
眼の中には房水という水がたえず循環して、目に栄養を与えています。しかし何らかの原因で房水の産生と排出のバランスが悪くなると、房水が眼内にどんどん貯まっていき、眼圧(眼の固さ)が上昇します。眼圧が高くなると視神経が圧迫されて、視野や視力が障害を受けます。正常眼圧は10~21mmHgとされていますが、視神経に障害が起きる眼圧の値には個人差があるので、眼圧値が正常でも緑内障になることが多く(正常眼圧緑内障)、日本人にはこのタイプが多いと言われています。
治療
一度障害された視神経や視野は、残念ながら元に戻ることはありません。早期発見・早期治療がとても大事です。治療により進行を予防・遅らせる事ができます。治療法としてはまず、点眼薬で眼圧を下げる事から始めます。それでも不十分な場合には、内服薬・点滴・レーザー治療・手術を行います。
<糖尿病網膜症>
糖尿病の三大合併症(眼・腎臓・神経)の一つです。日本では失明原因の第一位となっています。高血糖のため、血液の流れが悪くなることによって、網膜の血管が膨張したり・破れたり・異常増殖して、網膜や硝子体に出血などの異常をきたす病気です。「初期には自覚症状が現れず、視力低下を自覚した時にはかなり進行してしまっている。」などというケースがほとんどです。糖尿病と診断されたら自覚症状が無くても、定期的に眼底検査を受けるようにしましょう。
治療
内科での血糖コントロールが非常に重要となります。進行した網膜症では、レーザー光凝固術や硝子体手術の外科的治療を行います。
<網膜静脈閉塞症>
高血圧・高脂血症・糖尿病などが原因で、網膜の静脈がせき止められてしまい、眼底出血や浮腫(むくみ)をおこす病気です。
症状は、閉塞する血管の場所によって違いますが、主なものは眼のかすみ・視力低下・出血した部位に応じた視野欠損があります。
治療
内服:止血薬、血流改善薬、抗凝固薬、抗血小板薬など。レーザー光凝固術 :新生血管の発生を予防する目的で行います。外科的治療:硝子体手術を行います。
<黄斑上膜>
網膜の黄斑部:(オウハンブ)の上に膜がはる病気です。膜がはるとその膜が収縮してきて、網膜にシワがよった状態になります。そのため視力低下が生じ、物がゆがんで見える事もあります。原因の多くは硝子体の加齢による変化によっておきます。
治療
程度が軽い場合は経過観察となります。視力低下やゆがみの自覚症状が強い場合は、硝子体手術で膜を取ります。
<網膜剥離>
網膜は眼底にある0.1~0.2mmの薄い膜で、カメラでいうとフィルムにあたる部分です。網膜は10層からなり、その内側の9層を「感覚網膜」と呼び、一番外側の膜を「色素上皮層」と言います。網膜剥離は「感覚網膜」が「色素上皮層」からはがれて、浮き上がってくる病気です。はがれても痛みはありません。しかし、網膜は像を映し出す重要な役割を担っているため、網膜がはがれると視力や視野に障害がおこってきます。
そのまま放置すると、ほとんどの場合が失明に至ってしまいます。その多くは、網膜に穴があく網膜裂孔が原因で起こります(裂孔原性網膜剥離)。症状の前兆としては、飛蚊症:ヒブンショウ(黒いゴミ・虫が飛んでいるように見える)、光視症:コウシショウ(チカチカ光を感じる)があります。網膜がはがれてくるとその部分に応じて、カーテンが降りてきたように視野が欠けて見えます。物を見る中心の黄斑部にまでそれが達すると、急激に視力が低下します。
治療
穴が開いているだけの状態であれば、レーザー光凝固術で裂孔の周囲を接着します。こうすることにより、剥離がおきるのを予防する事ができます。剥離が進んでいる場合は、硝子体手術を行います。どちらも早急な治療が必要となります。
<ぶどう膜炎>
虹彩:コウサイ、毛様体:モウヨウタイ、脈絡膜:ミャクラクマクの総称をぶどう膜と呼びます。ぶどう膜炎とは、このぶどう膜の一部・または全てが炎症をおこす病気のことです。一般に羞明:シュウメイ(まぶしく感じること)・眼痛・かすみ・充血・視力低下・飛蚊症などの症状があらわれます。原因は細菌・ウイルス・寄生虫などによる感染症のものや、免疫異常によるもの、糖尿病などの全身疾患に合併するもの等があります。しかし、しばしば原因を特定できないことがあります。(代表的なぶどう膜炎として、ベーチェット病・サルコイドーシス・原田病があります。)
治療
ステロイド薬の点眼や内服。原因や症状の程度によって、治療法が異なってきます。合併症(白内障・緑内障など)に対しては、手術が必要な場合もあります。
<斜視>
斜視とは、両目の視線が目標に向かってそろわず、片方の目の視線が別の方向に向かっている状態を言います。原因は目を動かす筋肉・神経の異常によるもの、遠視によるもの、目の病気によるもの、脳の病気によるもの、全身の病気によるもの等、様々な理由が挙げられます。
治療
斜視の種類よって様々です。適応があれば手術も行っています。
<弱視>
弱視とは、眼鏡をかけても視力が出ないことを言います。視力は生後から少しずつ発達していき、7歳頃までに両眼の視機能が完成するといわれています。しかし、乳幼児期に屈折異常(遠視・近視・乱視)や斜視などがあって、物がはっきり見えない状態が続いた場合、視力が正常に発達せず弱視になることがあります。
治療
弱視のタイプによって異なります。屈折異常があれば眼鏡で矯正します。必要があれば良い方の目をアイパッチで隠して、弱視の目の使用を強制する(健眼遮閉法)などの視力増強訓練を行います。治療を始める時期で、その効果は全く違ってきます。そのため早期発見・早期治療が非常に大切となります。3歳児検診や就学時検診などで異常があれば、すぐに眼科にかかるようにしましょう。
お子様が近視でお悩みの方へ
当院ではお子様方の近視進行を予防するため、積極的に近視進行抑制治療を行っております。近くを見ることが習慣化しやすい学童期に、近視が進行する傾向が強いです。強度近視は様々な疾患の要因となることがあり、予防は早めに取り掛かることをお勧めします。当院で行うものは、オルソケラトロジー、低濃度アトロピン治療、アシスト眼鏡、ワックです。詳しくは、検査・診察時にお尋ねください。
院長の主な手術執刀実績
白内障 13500件
硝子体 1500件
緑内障 160件
眼瞼手術 200件
(2016年4月現在)